ピの図書館

ピの図書館へようこそ。このブログでは、ツイッターに掲載しない長編小説を投稿しています。

2020-01-01から1年間の記事一覧

【瞬 第2話 偶然③】

…真梨side…… そして、放課後の図書館。 大問題が起きた。 「…えっ、どういうことですか?」 驚いて訊き返す私に、サキ先生は顔の前で両手を合わせ「ごめん!」と何度も謝った。その仕草だけなら可愛い先生なんだけど… 「ごめんね真梨ちゃん。この後、司書ミ…

【瞬 第2話 偶然②】

…真梨side…… それは突然やってきた。 いつものように放課後に買い物してから帰り、夕飯を作っているとき。 _プルルルル 電話が鳴った。 「はい、水瀬です」 手が離せなかったので、子機を取る。知らない番号からだ。営業だったら適当に理由をつけて切ろうと…

【瞬 第2話 偶然①】

…真梨side…… 学校を出ると、オレンジ色の斜陽が目に眩しい。 腕時計を見ると午後5時を少し過ぎた頃。いつものように近所のスーパーに寄り、セールで値引きされた商品を狙ってカゴに入れていく。そろそろ夕飯を作り始める時間だ。リスト通り買い終えて、急い…

【瞬 第1話 図書館③】

…真梨side…… 「はい、連絡事項は以上です」 担任の岡野先生が、起立、礼の号令をかけると、教室は一気に騒がしくなった。 「真梨ー」と呼ぶ声がして振り向くと、テニスラケットを背負った夏菜子が立っていた。 「私部活だから。真梨は今日図書館?」 軽く頷…

【瞬 第1話 図書館②】

…龍我side…… 「お疲れ様でした!」 現場に向かって、金指と俺は頭を下げた。 「お疲れ様でしたー」 スタッフさんたちの声を背中に受けながら、急いで楽屋に戻る。 「金指、今何時?」 「12時ぴった」 「了解」 衣装から制服に着替えていると、楽屋のドアをド…

【瞬 第1話 図書館①】

…真梨side…… 風が吹いた。 開け放った窓から教室に吹き込んで、くすぐったく髪をなでる。私は読んでいた文庫本から顔を上げた。 午前7時。いつものように電気をつけ、換気扇を回す。黒板脇のケージを覗き込むと、ハムスターがカラカラと忙しなく回し車を駆け…

【瞬 プロローグ】

…真梨side…… 5月。 見上げた空は五月晴れと呼ぶのにふさわしい水色で、吹く風が肌に心地良い季節だ。 新年度の高揚感も落ち着いて、忙しない日常を取り戻した都心の大通り。 赤信号で立ち止まったとき、隣から賑やかな声が聞こえてきた。 「見て! 看板変わ…

【瞬 登場人物】

【瞬 はじめに】

はじめまして。ピです。 本日より、『瞬(またたき)』を掲載致します。 このお話の原案は、私が高2のとき、Hey! Say! JUMPの山田くんを主人公に据えて書いた長編ラブストーリーです。 周りの登場人物、舞台となる高校もリアルに近づけた設定となっています。 …